水子(みずこ)とは、本来「すいじ」と読み、生後1年に満たない時期に亡くなった赤ちゃんや、流産や中絶によって亡くなった胎児のことをいいます。
またの名を泡子(あわこ)と言い、水子という名前の由来は、日本神話で生後間も無く葦の船で海に流されたとされる水蛭子(ひるこ・後の恵比寿神)からきているようです。
昔は7歳までの⼦供を神の⼦として扱っており、亡くなっても⼤⼈のように葬式をしないほか、先祖代々のお墓ではなく無縁仏とされていました。葬式をしなかったのは、供養することで幼くして亡くなった命が⽣まれ変われずに、極楽へ旅⽴ってしまうのを防ぐためと⾔われているようです。
現在では不幸にもこの世に⽣まれてくることができなかった⼩さな命を供養するために、⽔⼦地蔵をお墓に建てるなど⽔⼦供養を⾏っています。
水子地蔵の意味
合掌している⽔⼦地蔵は、⽔⼦の⺟親代わりの慈⺟地蔵尊です。この慈⺟地蔵尊のもとは慈⺟観⾳菩薩で、お母さんが子供へ向ける愛情のように深い慈愛の⼼を持った菩薩様です。
ほかにも、錫杖と⼀緒に⼦供を抱いている⽔⼦地蔵もいますが、⼦供を抱いている地蔵は⼦安地蔵(こやすじぞう)とも呼ばれています。⼦安地蔵は妊婦の安産を見守ってくださる地蔵尊で、安産以外にも⼦授けなど妊娠を祈願するためにお参りを⾏います。また、⽣まれた⼦供が健やかに成⻑するのをお守りくださる地蔵でもあり、妊婦は安定期に⼊った戌の⽇にお参りが良いようです。
これらのように、お墓にある地蔵様は亡くなられた小さな命を供養してくださるとともに、これから生まれてくる命にもご利益を与えてくれます。鎮魂と守護を兼ねた存在と言えるでしょう。
堤