お墓の管理や供養一切をお寺や霊園にお任せできる「永代供養」。さまざまな理由から永代供養を選ぶ人は多いようですが、法事などはどうすればいいのか分からないという人は少なくないでしょう。供養はお任せしているので個人的には法事を行わなくていいのか、もしくは反対に法事を行ってもいいのかなど、疑問点がたくさんあります。
ここでは、基本的な永代供養の基礎知識や法事の種類、個人的に法事を行うかなどについて詳しく見ていきましょう。
永代供養ってどういうもの?
永代供養とは、亡くなった方の家族や子孫などに代わり、お寺や霊園などがお墓(遺骨)の管理や供養を行ってくれることを指します。(※1)
一般的に「永代」には、「期限を設けずずっと」という意味合いがありますが、遺骨の安置についてはある一定の期限が設けられています。お世話になるお寺や霊園などによって期間が異なりますが、一般的には十七回忌、三十三回忌、五十回忌までとするところが多いようです。(※1)
実際にお願いするお寺や霊園に事前にしっかりと確認しておきましょう。
契約期間が過ぎた後はほとんどの場合、他の遺骨と一緒に合祀されることが多く、永代供養墓で管理されることになります。
しかし、こちらもお寺や霊園によって異なり、遺骨を埋葬するのか、遺骨の一部を骨壷に入れて管理するのかなどさまざまですので、気になる点は事前に問い合わせておく必要があります。永代供養は元々、後継ぎがいない人や身寄りのない人などが利用していた方法でした。
また、資金面でお墓を建てることができないといった場合の選択肢でもあります。昨今では、お墓を立てずに、その分の費用を子供に残してあげたい、子孫に代々墓の管理を任せるのは悪いといった考えから、永代供養を選ぶ人も増えてきているようです。
永代供養にかかる費用は、埋葬や供養のタイプ、人数などによっても異なります。永代供養は、初めに永代供養に必要な費用を支払うことで、後々費用がかからないのが特徴です。一般的なお墓では、お寺などで供養をしてもらう場合お布施や維持管理費などが必要になりますが、永代供養では金銭面の心配を後に残すことがないというメリットがあります。
永代供養でも法事は必要?
永代供養を契約すると、お寺や霊園などの管理者が責任を持って以降のお墓の管理や供養を行ってくれます。親族がいない人や、いても遠方に住んでいてなかなかお墓の管理や供養ができない場合などには大変助かる仕組みです。管理者によって供養のタイミングは異なりますが、一般的にはお盆や命日、回忌供養、春と秋のお彼岸などのタイミングで行うところが多くあります。
中には、故人に向けて毎日読経するお寺もあるようです。
そのため、契約者は心配することなく供養をお任せすることができ、個人的に供養をする必要はありません。(※2)
個人的に法事を行うことは可能
お寺や霊園にお墓の管理や供養を一切任せる永代供養ですが、もし親族が法事を行いたい場合には問題なく執り行うことができます。故人が亡くなったときには通夜と葬儀が行われ、亡くなった日から数えて7日目には初七日の法要が行われます。仏教では、人は亡くなってから7週間、この世とあの世の間を彷徨っていると考えられています。故人の家族はこの期間を「忌中」とし喪に服するのです。
そして、忌明けの四十九日にお寺で法要を行い、魂が成仏できるようお参りします。正式には、初盆の後の一周忌、三回忌、七回忌、十三回忌、十七回忌、二十三回忌、二十五回忌、二十七回忌、三十三回忌、三十七回忌、五十回忌と続きますが、地域や家庭により法事の数も異なるようです。
仏教では、遺族や亡くなった方と親しかった友人などが集まって法事を行うことで、故人が偲ばれ極楽浄土に行くことができるという考え方があります。
また、法事を理由に遠く離れている親族が一堂に集まる機会を設けることもできます。久しぶりに顔を合わせて故人の思い出話に花を咲かせることができるでしょう。お寺に任せる供養もいいですが、やはり故人に近しい人の心のこもった供養は喜ばれるはずです。永代供養をお願いしている場合、個人的に法事を行うのは管理者に対して悪いと思う人もいるようですが、まったく気にする必要はありません。遺族で法事を行いたい場合には、一言管理してもらっているお寺や霊園に連絡をしておきましょう。
事前の打ち合わせは必要
永代供養をお願いしているお寺や霊園で法事を行いたい場合には、早めに連絡をしておく必要があります。
できれば法要を行いたい年の前年までに問い合わせをしておきましょう。(※2)
永代供養を行っているお寺や霊園では、法要を希望する家族の数も多いので、早めに連絡しないと希望の日程に行えない可能性があります。永代供養を契約する際の書類にも目を通し、早めに日程を確保する必要があります。実際の準備は親族が行うことになりますが、参列者への案内状作成・送付、会場の確保、会食の準備、引き出物の手配など、意外とすることがたくさんあります。法事の1カ月前までには案内状を送り、参列者の人数を確認しておくことをおすすめします。
中には法要を行う場所を借りることができるお寺や霊園もあるので、永代供養の契約の際に確認しておくのもいいでしょう。法要と会食を同じ場所で行うことができれば、参列者の移動の負担が軽減され、特に高齢者が多い場合などには喜ばれます。
永代供養でも法事をする意味がある
昔は代々、親族がお墓を守り供養をしていくことが当たり前でしたが、時代が移り変わるにつれてお墓や供養のあり方も変化してきました。なかなかお墓の管理ができないという人の選択肢として注目の永代供養では、一切の管理をお寺や霊園に任せることができます。葬儀が終わった後の回忌供養も行ってもらえるので、安心で便利だと人気です。
しかし、遺族や親族が法要を行うこと自体には大きな意味があり、故人を偲ぶ良い機会となります。
ただみんなで集まり近況報告をするだけでもいいのです。仏教では、残された人たちが故人の冥福を祈って行う供養のことを「追善供養」と呼び、追善供養を通して極楽浄土にいくことができるという考え方があります。
また、供養は残された人たちが気持ちを整理することができる場でもあります。可能であれば、永代供養をお願いしているお寺や霊園に親族が集まり、法要を行ってみてはいかがでしょうか。
※1.【一般社団法人全優石】永代供養とは? 永代使用との違いってなに?、http://www.zenyuseki.or.jp/knowledge/manage/eitaikuyou.html
※2.【終活ねっと】永代供養をお願いしたけど法事はやるべき?理由もつけて解説、https://syukatsulabo.jp/article/5728