「改葬」とはお墓の引越しのこと
改葬とは、今あるお墓を引越しさせることを指します。
かつては一家が代々同じ土地に住み、1つのお墓を守り続けてきました。しかし、現代では子ども夫婦が実家から離れた場所に住むことが増え、お墓の日常的な管理や定期的なお参りが難しくなるケースが相次いでいます。
お墓の手入れを長らく行わず周辺が荒れてしまうと、無縁墓地となってしまいます。無縁墓地の問題は、故人の供養ができないことや霊園の負担が増えることです。ただ、改葬でお墓を自宅近くに引越しさせることで、家族の手で管理しやすくし、無縁墓地と化すのを防ぐことができるのです。
どうしても自分たちの手で管理が難しいという場合は、永代供養墓や合祀墓に改葬して、管理や供養を寺院に任せるというケースもあります。
改葬の流れを知ろう
改葬には大きく分けて4種類あります。
- 石碑・遺骨を移転
- 石碑を新たに建立し遺骨をすべて移転
- 石碑を新たに建立し遺骨の一部を移転
- 石碑を新たに建立し分骨
ともに大まかな流れは共通しています。
まずは改葬先、つまりお墓の引越し先を見つけることから始めます。霊園によっては既存の石碑を持ち込めなかったり、区画サイズが既存の石碑に合わなかったりする場合があります。引越し先の条件を確認しながら、石碑を新たに作るかどうかを検討してみましょう。
改葬先が決まったら、管理者に「受入証明書」を発行してもらいます。同時に今あるお墓の管理者に「埋葬証明書(納骨証明書)」も発行してもらいましょう。この「埋葬証明書(納骨証明書)」は、遺骨1名ごとに必要です。そのため、(2)のように遺骨すべて移転させる場合は全員分の書類が(3)のように一部のみ移転させる場合は対象となる遺骨の分のみ書類が必要です。
そして、この「受入証明書」と「埋葬証明書(納骨証明書)」の2種類を持って、今あるお墓の市区町村役場に「改葬許可申請書」を提出します。その市区町村役場から「改葬許可証」を発行してもらえば、行政的な手続きは一段落です。
なお(4)の分骨の場合は役場手続きが不要で、今の墓地の管理者から「分骨証明書」を発行してもらうことになります。
あとは改葬作業をしてくれる業者と契約し、スケジュールを確定させます。今のお墓を閉じる当日には寺院によって「閉眼供養」をしてもらってから骨壷を取り出し、改葬先に移す際に「開眼供養」を行い、骨壷をおさめます。
このように、改葬には行政・業者・寺院と関わりながら多くの手続きをする必要があります。
改葬代行サービスで手間を減らせる
遠方に住んでいる、忙しくてなかなか手続きの時間を割けないという場合には、改葬代行サービスを活用してみるとよいでしょう。
改葬代行サービスとは、改葬に関わるさまざまな手続きを代わりに行ってくれるサービスです。たとえば市区町村役場で必要な書類手続きは、司法書士や行政書士の資格を持った担当者が代行してくれます。また、改葬にあたっては、寺院の檀家をやめる「離檀」や新たに檀家となる「入壇」が必要なことがあります。
業者によっては、この離檀・入壇に関する交渉や、閉眼供養・開眼供養のスケジュール調整なども行ってくれることがあります。とくに離檀料・入壇料の交渉は、相場が分かっていないとなかなかしづらく、精神的にも気後れしてしまう場合がありますが、業者にお願いすれば安心です。
また、墓地の解体・新設工事、遺骨の運搬、古い墓石の廃棄など、細かな業務を請け負ってくれるケースも少なくありません。具体的なサービス内容は業者によって異なりますが、改葬に関わる煩雑な手続き・手配を軽減できるサービスとなっています。
改葬代行の費用相場はどのくらい?
改葬代行サービスの費用は、サービス内容や業者によって異なりますが、大体の相場は30万円程度といわれています。ただし、費用の内訳が細かく分かれているため、自力でできる範囲は自分たちで行うことで費用を抑えることができます。改葬代行サービスの内容とおおよその費用をチェックしていきましょう。
まず書類関係では、改葬先の「受入証明書」取得や、役場への改葬許可申請に費用がかかります。また、寺院との交渉にも費用が必要になります。離檀・入壇にあたっては、業者へ支払う交渉費用のほかに寺院へ離檀料・入壇料を支払うケースがあることも覚えておきましょう。
離檀料・入壇料の請求額は寺院によって異なります。また閉眼供養・開眼供養の手配にも費用がかかり、寺院へのお布施は格式などによって異なります。
墓地の解体工事には墓地の広さごとに金額が異なってきますので見積りを依頼しましょう。
このようにサービスによって金額設定がなされているため、費用を抑えたければ必要最低限のサービスだけ依頼するとよいでしょう。
改葬代行サービスを上手に使ってお墓を引越しさせよう
自宅とお墓が遠く、なかなか管理・供養できないと悩んでいたら、改葬を検討してみることがおすすめです。
改葬では自宅近くにお墓を引越しさせるだけでなく、永代供養墓や合祀墓に移すという方法もあります。改葬にあたっては行政や寺院、墓地の管理者などとさまざまな手続きが必要になりますが、改葬代行サービスを利用すればその手間を軽減できます。
ただし、30万円程度の費用が発生するため、自分たちでできることと業者にお願いしたいことを整理した上で予算を検討するとよいでしょう。