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正しく理解している?神道の納骨にまつわる基礎知識

公開日:2016/4/1

神道の供物

日本では多くの人が仏式で葬式をあげます。そのため、仏式の葬式については知っていても、神道の葬式や法要についてはよくわからないという人も多いのではないでしょうか。

たとえば、納骨の方法です。

納骨は故人を弔う際に重要な意味を持つ儀式ですが、両者の違いを理解していないといざというときにとまどうことにもなりかねません。

そこで、自分の家や親戚が神道だという人のために、神道における納骨の基礎知識について解説をしていきます。

神道では骨上げ当日の納骨が一般的

仏教の場合、納骨は四十九日の法要の日に合わせて行うのが一般的です。この日は故人があの世に旅立っていく日だとされているのでそれに合わせて納骨の儀式を行うわけです。

それに対して、神道の場合は火葬をした後にすぐ納骨を行うのが一般的です。ただし、まだお墓が準備できていなくて納骨をしたくてもできないケースもあります。

そういう場合は仏教の四十九日に相当する五十日祭に合わせて納骨を行うのが通例です。

神道においては五十日祭が忌明けとされているので納骨を行うにはちょうどよい節目となります。もし、それでも間に合わないという場合は一年祭が納骨を行う次の目安です。

ちなみに、神道では死は穢れとされているため、神社の中にお墓を建てることはありません。神社から離れた霊園に墓を建て、そこで納骨を行います。

謝礼の表書きにも注意しよう

納骨の際には神職に対して謝礼を用意しますが、そのときに気をつけなければならないのが表書きです。

「お布施」と書いてしまうと仏式における僧侶に対する謝礼という意味になってしまうのでくれぐれも間違わないようにしてください。

神道の場合は「御祭祀料」、あるいは「御玉串料」と書くのが一般的です。

ちなみに、玉串とは紙で作った紙垂を榊の枝に麻で結んで垂らしたものであり、神に対する重要な捧げものです。その玉串に代わって金品を捧げるところから御玉串料というわけです。

また、遺族に渡す弔慰金などの表書きには「故人と別れる悲しさに涙がこぼれ落ちて文字が薄れてしまった」という意味を込めて薄墨を用いるのですが、神職に渡す謝礼の表書きには濃墨を用います。

混同しないように注意しましょう。

そして、「御祭祀料山田××」あるいは「御祭祀料山田家」といった具合に袋の下半分に遺族の名前を記します。

さらに、袋の裏面には金額、住所、電話番号などを書くのですが、表にすでに名前を書いているので裏面に再び名前を書いてしまわないように気をつけましょう。

謝礼の表書き

埋葬祭の大まかな流れ

墓地に遺骨を埋葬する儀式のことを仏教では納骨式といいますが、神道でこれに相当するのが埋葬祭です。

埋葬祭の流れとしては、最初に神職の立会いのもとで遺族が遺骨を安置し、祭壇を作ります。その際には、四方に竹を立ててしめ縄で囲い、銘旗も立てます。銘旗とは故人の氏名や官位を記した旗のことです。

このときに神饌と呼ばれる神に捧げる食べ物を祭壇に供えていきます。具体的には米、餅、魚、野菜、果実などといったものです。その他にも飲み物として水やお酒も用意します。

また、それらと一緒に故人が好きだったものもお供えします。

なお、お供え物に関しては神社の方で用意してくれる場合もあるので事前の打ち合わせをきちんとしておくことが大切です。

準備が整えば、神職がお祓いを行い、祭詞を奏上し、その後に玉串を奉奠します。続いて参列者も玉串を奉奠するのですが、奉奠とは要するに神様にお供えをするという意味です。

ここで玉串奉奠の流れを簡単に説明すると、まず自分の順番になったら神職と遺族に一礼をし、用意されてある玉串を両手で受け取ってください。

それから、玉串案と呼ばれる机の前まで進み、御神前に一礼をします。

次に、玉串の葉先が前方を向くようにし、そのまま時計回りに半回転させて枝の根元を前方に向けます。

そして、このときに祈りを捧げて故人への哀悼の意を表すのです。

祈りを終えれば、そのままの向きで玉串を玉串案の上に置きます。お供えをした後は、遺影に向かって、二拝・二拍手・一拝の拝礼です。

ただし、音を立てないように気をつけてください。この音を立てない柏手のことを忍び手といい、手のひらが当たる寸前に止めるのがコツです。

以上で儀式は終了となり、その後は遺族が参列者をもてなす食事会が催されます。

仏教の納骨式であれば僧侶も一緒にもてなすところですが、神式の場合は神職をもてなすことは少なく、代わりに「御膳料」を包むのが一般的です。

最低限のマナーも身に着けておく

葬式などとは異なり、納骨の際には服装に関する厳格な決まりはありません。ただし、何を着ていってもよいというわけではなく、派手な服装や装飾のついたものは控えるのが常識です。一般的には平服でよいというのが共通認識となっています。ちなみに、平服とはTシャツとジーンズなどといった普段着のことではありません。

冠婚葬祭に着用する服には正礼服、準礼服、略礼服があり、その下に位置づけられるのが平服です。つまり、平服というのは「礼服ほど正装をしなくてもよいが、その場にふさわしい服装」といった意味合いになります。

しかし、実際には、平服にこだわるよりも、埋葬祭には暗い色の礼服を着ていった方が無難です。

たとえば、男性なら黒や濃い紺色、濃いグレーなどのスーツ、女性ならそれらと同じような色のワンピースといったものなら問題ないでしょう。

一般的な仏教との違いを中心に押さえておこう

日本は仏教徒の多い国であり、仏教に関する決まり事やマナーに関してはなじみ深いものがあります。たとえば、仏式の葬式や法要などのしきたりについては多くの人が詳しい知識を持っています。

その反面、神道についてはなじみが薄く、葬式や法要についても分からないことが多いものです。

しかし、重要なのは、日本において仏教と神道は互いに影響を受け合って発展したという事実です。そのため、両者には多くの共通点があります。葬式や法要などに関しても全く別物のように見えて、実際はかなり似通っているのです。

そこで、神道の納骨などについて学ぶ際には、仏教のそれと比較しながら両者の違いを中心に押さえていくことをおすすめします。

仏教に関する決まり事やマナーについてはすでに多くの知識を積んでいるはずなので、それと異なる点を覚えるだけであれば、さほどの労を費やさなくてもすむはずです。

効率よく学習を積み、いざというときに困らないようにしておきましょう。


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