遠方に住んでいるためお墓の管理が大変という人も少なくありません。管理が難しくなると墓じまいを検討する人もいます。
また、後世への負担を軽減したいなどいろいろな事情で檀家をやめたいと考えるケースも増えているようです。
しかし、檀家をやめるための方法やその後の供養方法がわからずどうしたらいいのか悩んでいる人も多いことでしょう。
ここでは、菩提寺から円満に離れるために知っておきたい知識について解説していきます。
檀家離れが進んでいる現状
お墓を持つ人とお寺をつなぐ檀家制度は、江戸時代から続いていると考えられています。(※1)
檀家制度とは、お墓がある寺院に属して供養をすべて任せる代わりに経済支援をおこなうというものです。お布施が経済支援に当たり、先祖代々供養を任せている家と檀家になったばかりの家では金額にも差があります。
そもそも檀家制度は、大家族での生活が当たり前という時代に定着したものです。一生を同じ土地で過ごす人が圧倒的に多かった時代の制度であるため、現代のライフスタイルにマッチしていないという声も聞かれます。核家族化や少子高齢化など、ライフスタイルの変化によって檀家離れが進んでいるのが特徴です。県外に引っ越してお寺とは縁が無くなったにもかかわらず、高額なお布施を払わなければいけないといった問題を抱えている人も少なくありません。
他にも、檀家制度をめぐる問題は多く檀家をやめたいと考える人が後を絶ちません。
檀家でいることにメリットはある?
檀家制度に難色を示す人は多いものの、檀家になることで得られるメリットも存在します。
例えば、檀家であればお寺の敷地内にお墓を建てられる、法事などの際に優先的にお経をあげてもらえるといったメリットがあります。
また、仏事全般の相談にも乗ってもらえますが、遠方に住んでいる場合や法事をおこなわない家であればメリットは少ないといえるでしょう。
お寺との関係性が強まることで、先祖や故人に対する供養を手厚くすることができます。これまで代々お世話になっているからという理由だけで檀家を続けている人は、実際にどのような恩恵を受けているか一度確認してみるのも良いでしょう。形だけに捉われずにメリットとデメリットをじっくり比較してみることが大切です。
デメリットが大きいなら離れるのもあり
もしもメリットよりもデメリットのほうが大きいと感じるのであれば、菩提寺を離れるというのもひとつの選択肢です。メリットを得るために納めているお布施の金額が負担になっている場合は、檀家をやめることも親族で話し合ってみましょう。檀家になっていることで起こり得るデメリットとしては、お寺の維持や運営にかかる費用を負担しなければいけないことが挙げられます。お寺の修繕が必要なときは檀家からの寄付によって費用をまかなうのが一般的です。
また、お寺を離れる際に離檀料を請求されることもあります。お寺によって離檀料の相場は異なりますが、100万円以上請求されることもあり得ます。(※2)
自分の意思で檀家になっているのではなく、先祖代々お世話になっているというケースは少なくありません。自分の代で檀家をやめることに後ろめたさを感じる人もいますが、今後の負担やニーズを考えたうえでどうするか考えてみると良いでしょう。
檀家をやめる方法
メリットとデメリットを比べて檀家をやめる気持ちが固まったら、後でもめないためにも親戚などで十分に話し合うことが大切です。檀家はお寺と家の付き合いでもあるので、一人の考えだけで結論を出すべきではないでしょう。
また、お寺に檀家をやめる旨を伝えるときは、理由の伝え方にも注意が必要です。円満に菩提寺を離れるためにも他の宗教に変えたい、檀家が嫌になったなどの理由は避けましょう。
離檀が決定すればお寺から離檀料の請求があります。金額はお寺によってまちまちですが、法要1回分のお布施程度の金額を納めるケースが多いようです。
さらに、お寺にお墓があれば墓じまいを済ませる必要があります。事前に新しい納骨先を探しておくと離檀がスムーズです。改葬(遺骨の移動)するためには、菩提寺が持っている遺骨に関する情報をもとに書類を作成したり証明印をもらったり、済ませておかなければいけない手続きがたくさんあります。改葬許可申請書・埋蔵証明書などお寺にお願いする手続きも多いので、離檀の伝え方に気を付け円満に墓じまいできるように配慮しましょう。(※3)
檀家をやめた後の供養は?
檀家をやめたいけれどその後の供養はどうしたらいいのか悩んでしまう人もいることでしょう。手厚く供養や法事のサポートをしてくれる菩提寺を離れるとなれば、不安はつきものです。檀家をやめた後の供養方法としては、一定の期間お寺や霊園が管理・供養をしてくれる永代供養を選択する人が多い傾向にあります。墓守が続けられないという理由で永代供養を希望する人は多く、期間が過ぎた遺骨は永代供養墓などで供養をおこなうのが一般的です。
法要の際にお坊さんを手配できるサービスもあるので、菩提寺がなくても節目にはしっかり供養することができます。
さらに、魂抜きや性根抜き法要をおこなうご供養仕舞い専門業者も存在します。檀家のお布施は金額が曖昧なケースが多いですが、専門業者なら料金設定が明確なので安心して利用することができるでしょう。
また、檀家にならなくても供養してくれるお寺もあるので、数ある選択肢のなかからニーズに合った方法を選ぶことができます。
無理せずに供養できる方法を選ぼう
先祖や親族の供養は大切なことです。
そのため、先祖代々続けてきた檀家としての在り方を守りたいと考える人もいることでしょう。
しかし、時代の変化に伴って檀家制度を続けることが負担に感じる人も増えています。金銭的な問題だけでなく体力的に墓守が難しくなるケースも少なくありません。先祖や親族の供養をすることに重点を置けば、檀家制度にこだわらなくても永代供養のようにニーズに合った方法はたくさんあります。
檀家をやめるためには、親戚との話し合いや書類の作成など必要な準備や手続きを一つひとつ片づけていく必要があります。
もちろん、改葬するためには遺骨の移転先を探すことも忘れてはいけません。檀家を続けるか菩提寺を離れるか、今後のお墓やお寺との向き合い方を考えたうえで、ベストな方法を選択しましょう。
※1.【ここからはじまるエンパーク】檀家制度とはなんですか?檀家制度の意味
https://en-park.net/words/4477
※2.【葬儀案内人 – 葬儀費用の相場と平均額】檀家になるメリット・デメリット~お寺と檀家の関係性~
https://www.sougisya-erabi.com/tera/bodaiji/1194/
※3.【終活ねっと】離檀料の相場とは?檀家をやめるのにはいくらかかるのか(4段落全体で参照)
https://syukatsulabo.jp/article/5972